20100508

九話

左右サイズの違う足にそろえると、いらない靴がひと組余る。
私を鏡に映したもう一人がそれを履いて夜出かけるのです。
めざめた瞬間が、巻き戻されたテープの巻頭であるかのように、物音も立てず戻ってきているもう一人。
彼女のために捨てられずにいるのよ、とあなたは押入れの隙間をそっと覗かせてくれる。
けれどさしこむ部屋あかりは、身を乗り出すあなたの影で覆われていた。


滝になるほどの坂しかない朝の雨の住宅地の地図をかく