20100508

八話

公園に来ていることを思い出したのは、人がたくさん生まれる小説を読んでいたとき、何の前触れもなく主人公が死んだからだ。
びっくりした。驚きのあまり本を閉じてしまい、ここが家でも電車でもないと知ったのだ。
足元に鳩が集まっている。一瞬、本から死臭が漏れたのだと信じてしまいかけ、考え直すとページを開いた。主人公の死後も物語は続いている。
鳩は死体に集まる動物ではなかった。


司会者は人によく似た影を持つエノキクスノキ立ち枯れている