20100508

十四話

サンダルにもスリッパにも見えるものを履いて出かけよう。
帽子に見えるかつらをかぶり、水着に見える下着だけ身に着けて。
それでいて女にも男にも見えないきみは、ぼくの天国であり地獄なのだ。
ぼくはきみという番組のただ一人の視聴者。ほかに替える放送局がない。
だからきみはぼくに必要な情報すべてとして、姿で視界を覆いつくす。
きみはぼくを騙せない。きみが言えばすべて本当になるから。
ぼくの考えることはすべてきみの受け売りなのだ。ぼくには自分がない。ぼくはきみだ。


ふさわしい蛇が這うまでこの廊下はぼくらの道にならないみたい