20100508

二十七話

人生には私の読む本を、うしろから覗き込む顔があるのだ。
そいつはいつもひと足先に読み終え、次のページにめくれるのを余白で待っている。
私はページの数だけ不本意なドアボーイの役目を果たさなければならない。

ある日突然何もかもいやになる、の「何もかも」の中には、たとえばそんなことだって入っている。




長袖をぶらぶらさせて落ちてくる真っ赤なあれはきみの思春期