20100508

十七話

教室には入口と出口がある。
出口から入った者は、入口から出て行くしかない。通り過ぎるとはそういうことだ。
私たちは通り過ぎる。入口から出ていく者と、私はすれ違う。かるく言葉を交わしたり、あるいは黙って肩をこすりつけるように、狭いところで譲り合って。
けれど授業中だけは違う。私たちはみな腰掛けており、どちらを目指しているのか見分けがつかないのだ。
あるいは、ずっとここにいていいのかもしれない。草むらに見失った打球のように。ずっと同じところを差す広場の時計のように。


強制終了後の地球 という章題を呟きたくなる夢をみていた