20100508

六話

大きすぎるおっぱいを(それが仕事だったから)貸し部屋に作り直した。
自分のおっぱいに住むことの出来る女はいない。
それはつねに貸し部屋であり、とても小さな男が住み着くものだ。
小さな男は無遠慮に音量を上げて音楽を聴き、行きずりの小さな娘を連れ込むだろう。
洗濯物のすきまから光を漏らす窓。
仕事とはいえ、そんな罪深い部屋を拵えた私は女に合わせる顔がなかった。
古い友達のように話はもうできない。
真夜中のコンビニですべての雑誌と、すべての原材料欄を読み終える頃窓のあかりが消える。
月を振り回す透明な鎖が今夜は見える。
私におっぱいがないのは、私が建物ではないからだ。そう気づいたのは何度目のダイエットコークを手に取ったときだろうか。
女は建物で、男は乗り物だ。
なぜそうなのかを説明することはできない。嘘だからではなく、説明すれば忽ち本当になるからだ。
私は監視カメラに映り続けた。優柔不断な泥棒のように。



わきの下を剃るようになった年齢を書く欄だけがある 履歴書